ということで、自然の脅威は神の与えた試練だと信じられているわけですが、その一方で、神はこの北アメリカの大地に、石油という奇跡的な恩恵を与えてくれたという「信仰」も伴っています。この石油という恩恵があるので、人間は大自然と戦って、苛酷な環境の中で開拓を進めることができたというわけです。左派の人々は、その化石燃料の使用も敵視してくるわけで、これは理解できないだけでなく、神と自分たちへの敵対行為だという感覚になるのです。

そのような自然観が、宗教的信念になっていることで、アメリカの保守派は温暖化理論を一切認めようとしないのです。もちろん、そこには大都市や欧州の左派イデオロギーへの対抗心もあると思いますが、それ以前の問題として開拓者が北アメリカ大陸の苛酷な自然と闘い続ける中で定着した一種の「肌感覚」があると考えられます。

テキサス州では、現在でもまだ不明者の捜索が続けられる一方で、あまりにも深刻な被害を前にして、全州が喪に服しているのが現状です。ですが、猛暑に苦しむ日本や欧州からは排出ガス抑制への強い意見が出ている一方で、テキサス州の場合は、明らかに温暖化によって起きた惨事であるにもかかわらず、環境問題に関する議論は全く起きていないのです。

【関連記事】 「音大卒では食べていけない」?......ただし、趣味を諦めれば食える時代は既に終わっている トランプのイラン空爆と、米民主党のさらなる左傾化
ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます