では、これに対抗する立場である、民主党の事実上の統一候補のジョー・バイデン氏はというと、とりあえず遺族に寄り添うとともに、メッセージを発信してはいます。

「とにかく怒るのは当然であり、全米での行動を支持する」

「だが、暴力や略奪などコミュニティを破壊する行為は支持しない」

「11月の選挙ではホワイトハウスだけでなく、上院過半数も奪還しよう」

「近日中に全国向けの演説を行う」

間違ったメッセージではありません。ですが、とにかく存在感が薄いのです。大統領選の投票まで5カ月、事実上、本選が始まっているのにこれでは心配です。

(1)トランプが「反ロックダウン・反マスク」に傾斜するのにどう対抗するのか? コロナ対策で健康と経済をどう両立させるのか?

(2)特にコロナ不況に陥り、空前の失業率となっている国内経済をどうやって再建するのか?

(3)副大統領候補には、有色人種の女性候補を選ぶなど、選挙戦の体制をどうやって固めるのか?

重要なのはこの3つだと思います。特に大切なのは(3)です。今回の事件でミネソタ州の民主党政治家であるクロブチャー上院議員の目はかなり薄くなったと思います。反対に、有色人種の女性候補を選ぶことができれば、トランプの世界観に対して明確に対抗ができるでしょう。

候補としては、メッセージ性をより鋭くするのであればステイシー・エブラムズ元ジョージア州議会議員、中間層への浸透や知名度を重視するのであればカマラ・ハリス上院議員――おそらくこの「2択」になるのではないかと思います。両者は正反対のキャラクターで、なおかつ一長一短です。すべてはバイデン氏にかかっていますが、果たして彼は決断ができるのでしょうか。

そんなわけで、事態は非常に混沌としているのですが、夏場の戦いへ向けて大統領選のヤマ場は静かに迫りつつあるのではないかと思われます。