これに対して、東海岸などリベラル州では「キャンパス内への銃の持ち込み禁止」が原則です。またこのブラウン大学のあるロードアイランド州は、全米でも最も厳しい銃規制を行っている州でもあります。

 ということは、仮にワトソンが「個人的に雇ったボディーガードを大学に認めさせて帯同していた」となると問題になるのです。ロードアイランド州では、「非居住者への銃携行許可証」がなければ銃携行は違法になるし、この許可証自体は非常に発行が難しいとされているからです。

 またアメリカの大学は「自治」が原則であり、州や市町村の警察権ではなく、自治警察が治安維持を担当しています。ということは、一つの可能性としては、この女性はブラウン大学の自治警察の人間で、自治警察がワトソンの警護をしていたというストーリーです。

 そうなると、大学が一人の学生のために、武装警官を卒業生の中に潜らせていたということになります。これも、銃規制派のカルチャーからすれば、特に神聖な教育の場として相応しくないということになると思います。

 ブラウン大学のあるプロビデンス市は、一昨年の暮れに小学校で乱射事件のあったコネチカット州に隣接しています。「危険があれば学校内に銃を持ち込むことも可」ということでは、NRA(全米ライフル協会)の言っていることと同じではないかという批判を受ける可能性もあるわけです。

 そんなわけで、「あのボディーガードは大学の自治警察職員であったのか?」というのは、重要な問題になります。これに関しては、大学サイドは「一切ノーコメント」だとしています。

 一部の報道によると、信憑性はともかく、この女性はNYPD(ニューヨーク市警)の元警官で、ワトソンが個人的に雇っている専属ボディーガードだという説もあります。また、大学の属するロードアイランド州の州警察は、関与を否定しています。いずれにしても、このニュースに関しては、「真相」はおそらく明らかにはならないでしょう。

 一方で、卒業式でのワトソンの表情が固かったのが気になりました。もしかしたら、孤独だったというのは本当なのかもしれない、そんな印象が拭えないのです。警護の「覆面ボディーガード」の存在が暴かれた後では、その印象は余計に強く感じられます。

 全世界的な知名度という重圧の中で、女優としての「中身」を磨いていきたい――ブラウンの学位にこだわったというのは、おそらくはそうした「根性」の結果だったのかもしれません。今後の活躍を期待せずにはいられません。