「なぜ日本メディアは報道しないのか」
日本では、人を救うときですら冷静さが推奨される。夏になると毎年、溺れた子供を助けに川に入った大人が溺死するような事故が報じられ、そのたびに水難事故の正しい対処法が啓蒙される。
一方、中国人はそんな場合でも、後先考えずに行動に移すことがほとんどだ。危険だとか無謀などと思うことはあまりない。それが美徳とされ、私もそう教わってきた。城ケ崎海岸での一件が日本でほとんど報じられなかった背景には、こうした文化的な違いもあるのかもしれない。楊さんの行動は素晴らしいと私も思うが、確かに危険と紙一重だった。
だが在日中国人の間では、直後から「なぜ日本メディアは報道しないのか。中国人の良い話は取り上げないのか」と騒ぎになった。
するとその後、6月の都議選、7月の参院選の両方に出馬し落選していた元中国人の行政書士、吉永藍氏が楊さんを探し出し、中国の動画配信者と共に日本での滞在先を訪問すると、楊さんに中国語でインタビューを行ってYouTubeで公開した。動画の中で吉永氏は、涙を流しながら「感動しました」と楊さんに話している。
これに対し、今度は日本の保守系ネットユーザーたちが「美談を利用している」と彼女を批判、挙げ句の果てに、救出時の映像のあら探しをして「自作自演だ」などと言いがかりを付ける者まで現れた。