イノベーションは技術者だけが生み出すものではない。社会全体が新しい挑戦に関心を持ち、失敗を許容し、議論を重ねる土壌があって初めて芽吹く。しかし今の日本には、それを育てる空気が乏しいと感じる。
新幹線が「変わらない安心感」として支持される一方で、未来都市の実験は「遠い世界の出来事」として無関心に映る。これでは、新しい産業が育つはずがない。
かつて新幹線は、日本の高度成長を象徴する「未来の顔」だった。では21世紀の今、その役割を担う存在はどこにあるのだろう。もしも社会が変化を望まず、挑戦を評価せず、現状維持を心地よしとするなら、日本から再び世界的な革新が生まれる日は遠いだろう。
日本財団による昨年の調査では、「自国の将来は良くなる」と答えた若年層の割合は、主要国の中では日本が最下位だった。問題は技術者や企業にあるだけではない。日本人一人一人の未来への関心の薄さや悲観こそが、最も大きな足かせなのかもしれない。

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