望むのは「死んだ息子」か「幸せな娘」か

間違いなく、トランスジェンダーをめぐる問題は複雑だし、僕がこの問題に精通しているというつもりもない。問題が難しい理由の1つは、確実には分からないし分かるはずのないことがあるからだ。

活動家の掲げる「確実性」は非難されるべきものだ。性別適合手術を受けた全ての人が正しい選択だったのかどうかが分かるまでには、何年もかかるだろう。

この子はきっと18歳になった時に胸が膨らんでくる/ひげが生えてくることを望まないだろう、という仮定に基づいて、12歳の子供に(取り返しのつかない結果をもたらす)強力な二次性徴抑制剤(思春期ブロッカー)を投与するなんて、とても過激なことだ。この手法は最終的に、2024年までには停止された。

それまでは、性別違和を抱えるティーンエイジャーのわが子に困惑した親が、これはただの「難しい年ごろ」というだけではないのだろうかと相談でもしようものなら、こんな答えを返されることが多かった――単純な選択ですよ、あなたが望むのは死んだ息子? それとも幸せな娘?

これは専門家のアドバイスというより脅迫にしか見えない。崇高な大義においては、微妙さや懐疑主義は許されないものなのだ。

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます