見どころは夫婦の関係
人気リアリティー番組『リアル・ハウスワイフ』の出演者として、メラニアはぴったりだと考えたことがある人(それは私だ)は、本作で間違いに気付くだろう。
同番組の出演者の主な役割の1つは、演出が施された場面をリアルに、あるいは少なくとも見て楽しめるように演じることだ。だがメラニアがスタッフ採用面接や、フランスのブリジット・マクロン大統領夫人とのビデオ会議に臨む様子はわざとらしく、悲惨としか言いようがない。
せめてメラニアの結婚生活について、何かを教えてくれるのか。実を言えば、そこが本作の見どころだ。
トランプが、24年米大統領選の勝利が確定したと知らせる場面では、妻に対する口の利き方が分かる。他国に対するときと同様、自慢と大言壮語だらけの口調には、妻でさえうんざりしている。
トランプが就任演説のリハーサルをする場面では、座って見守るメラニアがカメラを意識したように口を挟む。「平和構築者であることが、私の最も誇るべきレガシーになるだろう」という一文を、「平和構築者と結束を生む者」に変えるべきだ、と。元の表現も提案も空疎で、現政権の在り方と大統領夫人の貢献度を見事に象徴している。
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