それでも門外漢ならではの基本的な疑問が残る。そもそも、高層ビルに登るのはどれほど困難な行為なのか。

言うまでもなく、信じられないほど難しいのは分かっている。とはいえ、オノルドは世界有数の危険な岩壁を征服してきた伝説的なクライマーだ。岩壁と比べて、ガラスや鋼材でできたビルはどう違うのか。

人工的にデザインされ、造り出された高層建築には、バルコニーや手すりや窓ガラスがある。起伏だらけで、人を寄せ付けない岩より登りやすいのだろうか。

その疑問に答えてくれたのが、米コロラド州を拠点とするクライマーのノア・ケインだ。断崖やビルなど、あらゆる構造物に登頂しているケインのYouTubeチャンネルは、登録者数68万人に達している。スレート誌記者ルーク・ウィンキーが話を聞いた。

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──まずは大事な質問から。街中の建築物に登るアーバンクライミングとは、どんな存在なのか。多くの人がやっていて、彼らはしょっちゅうビルに登っているのか。

有名なアーバンクライマーは、ずっと前から存在する。最も知名度が高いのは、「フランスのスパイダーマン」として知られるアラン・ロベールだろう。(筆者注:ロベールは04年に台北101に登頂したが、台湾政府の要請を受けて、安全確保用のトップロープを使用した)。

そうはいっても、アーバンクライミングは確かに、クライミング界では異色の位置付けだ。クライマー人口は多くない。ただし、やっている人の熱量は極めて高い。

岩壁とビルでは、どちらを登るのがより難しいのか