懸念を呼ぶ「軍民融合」政策

中国は、自国の科学研究は平和目的であり、持続可能な発展を促進する建設的な存在として北極に関与していると主張している。

しかし中国は、2025年の国家安全白書で、北極・南極を国家安全の定義に加えた。これは深海や宇宙、領土・政治安全などと並ぶ20のカテゴリーの1つとされている。

中国政府は「軍民融合」政策を科学研究にも適用しており、すべての研究は軍民両用、いわゆるデュアルユースになり得る。この点は長年、西側諸国の懸念材料となってきた。

本誌は以前、ノルウェー領スバールバル諸島にある中国の研究機関が、レーダーやミサイル追跡などの分野で、軍事産業との関係を隠した名称の下でデュアルユース研究を行っていたことを報じた。

米国はノルウェー政府に対し、こうした活動への規制を強化することを求めてきた。2024年には、米議会の委員会がオスロに書簡を送り、懸念を表明している。

中国はロシアと関係を深める一方で、2013年に上海に「中国・北欧北極研究センター(CNARC)」を設立し、北欧諸国との関係構築にも長年取り組んできた。

本誌は、今年トロムソで開かれたCNARCの第11回目の年次総会で、中国・北欧北極協力シンポジウム「北極における人類の足跡――遠隔と現地」を取材した。

中国の北極進出の足場、CNARC