マクナマラのチームは、こうした語られざる物語の生きたアーカイブだ。

家から何時間も離れた場所で出産した母親を見舞えるまでの約1カ月、ママの写真をポケットに大事にしまっていた幼い男の子。高リスク妊娠の妻のためスーフォールズに移り住み、費用を稼ぐためにサンフォード・ヘルスで臨時の清掃員として働いた父親。無事に生まれた子、そうでなかった子......。

最悪の結果を迎えた場合に両親に尋ねるようになったことがある。赤ちゃんの髪の色は? ママとパパのどちらに似ていた? 足の指は長かった? 出産で赤ちゃんを亡くした親は、それについて話す必要がある。どんなに短い命でも、全てが意味を持つ。

マクナマラは22年12月の出来事を懐かしむ。クリスマス前の最後の水曜日で、雪のためラピッドシティで一晩足止めされた。翌朝も悪天候が続いたので必需品を買いに行き、吹雪が続くならみんなでペディキュアができるねと冗談を言い合った。

宿をチェックアウトする間もなく出発許可が出て、飛行機でミネソタ州マーシャルに行き、そこから車でスーフォールズに向かった。

「ペディキュアはできなかったけど」と、マクナマラは言う。「あの5人と一緒で翌日には帰れたから、まあ、よしとしようと思う」

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