<通院に何時間もかかる地域で、必要な専門医療をどう届けるか。コロナ禍以降の人手不足を背景に、医師が「移動する」仕組みが静かに広がっている>

水曜日。米サウスダコタ州スーフォールズは霧に覆われている。この季節に珍しいことではないが、医師のマイケル・マクナマラには特別な意味を持つ。水曜日は診察のため飛行機に乗る日だからだ。

マクナマラは米最大の農村医療システム、サンフォード・ヘルスに所属する母体胎児医学の専門医。活動範囲は中西部の北部一帯に及ぶ。

主な仕事は、母体と胎児の健康を守るため、頻繁な診察や超音波検査が必要な高リスクの妊娠を管理することだ。スーフォールズに住んでいる患者もいるが、農村地帯や軍の基地、先住民居留地など人里離れた地域に暮らす人たちもいる。

彼らがマクナマラの診察を受けるには、片道4〜6時間かけてスーフォールズへ移動しなくてはならない。

患者に毎月、あるいは毎週、その長旅を強いるわけにはいかない。そこでマクナマラと5人のスタッフは毎週水曜日、小型ジェット機で約500キロを60分かけて移動し、同じ州のラピッドシティへ行く。当地の医療センターで、多いときは8時間で22人を診る。

診察を終えると、天候が許す限りスーフォールズへ戻る。冬場は、往復の両方で遅れが出ることも少なくない。

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