しかし、二年前とは大きな違いがある。まず攻撃されたカッラーダは、シーア派商人が多いとはいえ、買い物客は宗派に関係なく多く集まる、中流家庭の行きつけの場所だったことだ。そして、ラマダン明け前日となれば、翌日からの休日に備えて普段以上に買い物に集まる庶民が多かった。ついでに、サッカーのユーロカップをテレビで観戦する客も、多数いた。痛みと嘆きを共有するのは、スンナ派もシーア派も、キリスト教徒もクルド人も、一緒だ。
つまりISは、戦後の特権階級やそれを象徴する宗教施設を攻撃ターゲットにしたのではない。大晦日のアメ横か、築地場外市場を攻撃したようなものだ。
そこに、ISに引き裂かれたイラクの宗派社会が、再び一体性を回復する契機を見ることはできないか。残念ながらそのときの「宗派共通の敵」は、ISとともに現政府であるかもしれないが。