『愛と追憶の日々』
『愛と追憶の日々』(1983) IMAGES PRESSーIMAGES/GETTY IMAGES

女性の描写で定評のある脚本家兼監督が新たに生み出すヒロインに、命を吹き込むという責任を担っているということでもある。

「とても光栄なこと」だと、マッケイは言う。「ジムが13〜14年間かけて書き上げたキャラクターと私の名前がほとんど一緒だというだけで素晴らしいし運命的。考えすぎないようにしているけれど、責任はひしひしと感じている」

マッケイ演じるエラもそうだが、ヒロインたちのキャラクター造形の根底にあるのは、トラウマは人の決断にどう影響を与えるのかというブルックスの問いだ。

『愛と追憶の日々』に登場する夫を亡くし娘と難しい関係にあるオーロラしかり、『ブロードキャスト・ニュース』の神経質なテレビプロデューサーのジェーンしかり、『恋愛小説家』の生活していくのに必死なシングルマザーのキャロルしかり。

「出発点となるのは、家族とのトラウマを抱えたキャラクターだ。そのトラウマについて自覚があり、すごく若い頃から声を上げてきたような人物。(今は)何らかの経緯で見捨てられてしまった状況にあるのだが、見捨てたのは自分の側であるかのように感じさせられている」とブルックスは語る。

演じる女優の側から見て、ブルックスは他の男性監督と何が違うのか。『恋愛小説家』でキャロルを演じたヘレン・ハントは言う。「私に言えることがあるとすれば、彼には(他の男性監督にあるような)偏見がなくて、女の脳がどのように働くかについても偏狭な思い込みがない」

映画ではない「意外な仕事」をしているブルックス