「それで、コルチゾン注射を打ってもらったんだけれど、効果はせいぜい1週間の応急処置みたいなものだった。ただ、注射を受けた時点では、すでにベルリン、シカゴ、ニューヨークのワールドマラソンメジャーズに出場が決まっていて、体に相当な負荷をかけていたのは間違いない」

通常であれば、エリスは体を休ませて回復を待ったはずだ。しかし次々と控えるマラソン大会を前に、彼女はトレーニングを続けざるを得なかった。

3カ月間にわたる理学療法でも改善が見られなかったため、エリスは手術に踏み切った。この手術は、腸脛靱帯を一部切開して長さを調整し、再生時により強くなることを期待するものだ。

だが、手術から1カ月後、膝の下に思いがけない「しこり」が現れたのを見て、エリスは目を疑った。

「最初に現れたときは小さなしこりで、理学療法士にも『問題ない』と言われた。だからランニングを再開して、痛みもなかった。ただ、内部に液体がたまっていて、それがしこりを押し出すような圧を感じた。押すとへこむんだけれど、すぐに戻ってしまうんだ」

その小さなしこりは、エリスがニュージーランドに渡航した際、膝のサポーターを忘れたことで急激に大きくなった。膨らみはすぐに目立つようになり、もはや手で押し戻すことはできなくなった。膝周辺の圧迫感も増したが、それでもエリスは1日6~8キロメートルのランニングを続けていた。

エリスは大きくなったしこりの写真を撮り、執刀医に送った。すると、すぐに診察を受けるよう指示されたという。

膝の下に「卵」が入っているような状態に...