国際社会の要求に屈し弱腰とみられることをハメネイは警戒するため、今回も外交姿勢に変化はないだろう。

経済も同じだ。中央銀行の新総裁に就任したアブドルナーセル・ヘンマティーは前経済財務相。インフレと通貨危機の責任を取る形で、25年3月に罷免された。その後、経済がさらに悪化したため、政府はその崩壊を食い止めようと彼を再び担ぎ出したのだ。

沈むタイタニック号でデッキチェアを並べ替えるような、その場しのぎの人事だ。ヘンマティーがいてもいなくてもイランの病根は変わらない。

抗議デモは国家と社会の断絶を浮き彫りにし、その行方は階級を超えた社会の団結に懸かっている。抗議者が一貫した政治的要求を打ち出せるか否か、治安機関や体制トップに亀裂を生じさせられるか否かがカギを握る。

抗議を動かす力は強さを増している。積もり積もった怒り、経済的絶望、尊厳の希求は確実にイランの政治を変えつつある。もはや問うべきは変化が可能かどうかではない。変化に現体制が耐えられるかどうかだ。

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