<中野量太監督の新作『兄を持ち運べるサイズに』が11月28日より全国公開。主演の柴咲コウが作品、演じること、歳を重ねること...について語った>

『湯を沸かすほどの熱い愛』で日本アカデミー賞などを受賞、『浅田家!』ではフランスでの大ヒットを記録した中野量太監督の新作『兄を持ち運べるサイズに』。原作は作家・村井理子の実体験をもとにしたエッセイ『兄の終い』だ。

何年も会っていなかった兄が死去したことをきっかけに、村井理子は7年ぶりに兄の元嫁と娘と再会する。兄が住んでいたゴミ屋敷と化したアパートを片付ける中で、とことんダメ人間だった兄との思い出が蘇る──。

たとえよい感情を抱いていなかったとしても、簡単には切れない家族の関係性を描いた本作は、観客それぞれの家族への想いや現在地にそっと重なり、心を揺さぶるだろう。

理子を演じたのは、フランス語での演技に挑戦した黒沢清監督のセルフリメイク作『蛇の道』、息子が担任教師に虐待されたという訴えを起こす母親役を演じた『でっちあげ~殺人教師と呼ばれた男~』など、チャレンジングな作品への出演が続く柴咲コウだ。

『兄を持ち運べるサイズに』
村井理子役を演じた柴咲。この役を通じて、積み重なっていた心の陰の部分に優しく灯りをともされたような、そんな感覚を抱いたという。©2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会

「変わりたい」という意識が芽生えた作品

――『兄を持ち運べるサイズに』の話が来た時はどう思いましたか?

脚本を読んで、いい映画になりそうだなと思ったのですぐに出たいなと思いました。

――「カタチはさまざまなはずなのに、私は村井理子さんを演じることで積み重なっていた心の陰の部分に優しく灯りをともされたような、そんな感覚を抱いた」とコメントを寄せています。どのあたりが一番グッときたのでしょうか?

カタチは違えど、家族間の悩みは私にもありますし、多くの人がその問題を抱えているからこそ、こういう映画が生まれるのだと思います。今作に携わる中で、カチャッと自分の中の鍵を開けられたような感覚があって、「そっか、私も寂しかったんだ」とか「なるべく見ないように蓋をしちゃってたんだ」と思いました。些細なことが積み重なって閉じ込めていたものがあって、「それが大人になるってことだ」と言い聞かせていたところがあったことに気付きました。

私は音楽活動では作詞をするので、嘘をつかずに本音を吐露することを仕事にしていますが、それでも触れられたくない繊細な部分があって、そこに触れられて少し出したくなりました。そういう変化をもたらしてくれた気がしています。

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「役の人生がパラレルワールドでずっと続いているかのように」