故に権力側としては時間稼ぎのネタが無限に必要なのだが、ここで稼働するポピュリズム的に「雑」な主張・政策が効用を発揮する。それまで「不当に」保護されていた(という設定の)社会層、つまり外国人やマイノリティーの立場をガツンと引きずり落とすのだ。理不尽で不当なのは承知の上だ。だがそれ故に、地盤沈下しながら中長期的な没落の予感に怯える「下層化予備軍」たちは、自分たちより先行してひどい目に遭う人々を見て快哉を叫ぶのだ。
これが「行き詰まった社会を維持するための時間稼ぎ」の処方だ。昨年末にかけ盛り上がった粗悪化が、26年急にとどまる理由はない。次の生贄は何か?
マライ・メントラインMAREI MENTLEIN
ドイツ北部キール出身。2度の留学を経て2008年から日本在住。独TV局プロデューサーや翻訳、通訳、執筆、コメンテーターなど幅広く活動する自称「職業はドイツ人」。近著に『日本語再定義』(小学館)など。
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