一方、社会的に孤立していても孤独感を抱いていない人の場合は、1人でも行える読書やパズルなどの「脳トレ」でメンタルな能力を維持している可能性があるという。

これらの活動と記憶力の関連性は明らかでないが、研究チームはいわゆる「使わなければ失われる」仮説に注目している。「この仮説では、社会的ネットワークとの交流が減ると記憶力の衰えにつながると考える。メンタルな能力の刺激に欠かせない物理的、心理的ないし社会的活動への関与が薄れるからだ」と、論文は記している。

孤独感による心理的なストレスでホルモンバランスに乱れが生じ、脳細胞間のつながりにダメージを与えている可能性もある。いずれにせよ、加齢に伴って記憶障害のリスクが高まっている人に対しては地域社会で支援する取り組みが必要だと、カンは言う。

「孤独を感じている高齢者はたいてい低所得で、構造的な壁や健康上の問題で地域社会とつながれなくなっている場合が多い」と、彼女は語る。「彼らが孤立を深めないような対策、例えば移動支援や家庭訪問などが必要だ」

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