(左)トミー選手に指導する髙嶋さん(右)卓球台が4台並ぶ体育館
(左)トミー選手に指導する髙嶋さん(右)卓球台が4台並ぶ体育館の練習場

バヌアツには卓球連盟はあるものの事務所がなく、髙嶋さんの他にコーチもおらず、スタッフもボランティア。ロンドン五輪に出場した卓球選手でトミー選手のいとこのアノリン・ルル選手が連盟の会長を兼務しながら、トミー選手のマネージャーも担う状況です。そんな環境の中でも、髙嶋さんは熱のこもった指導に加え、日本卓球協会の副会長に依頼して試合球を寄付してもらうなど、練習環境も整えていきました。

そうして臨んだ2つの大会で見事な成績を収めたトミー選手。以前は髙嶋さんが勧めても「勝っているから」とプレースタイルをなかなか変えようとしなかったものの、五輪出場を決めてからはさらなる強敵と戦うため、髙嶋さんのアドバイスを受け入れてラケットのラバーの種類が異なる表裏を使い分けるプレーや、より攻撃的なプレーを練習しています。

「まずは初戦を突破してほしい」。トミー選手への期待と共に、自身初の五輪コーチとしての同行も楽しみだと髙嶋さんは話します。

トミー選手と試合後に握手する高嶋さん
オリンピックのオセアニア予選最終戦で勝利をおさめ、オリンピック出場を決めたトミー選手と試合後に握手
髙嶋さんが指導するバヌアツナショナルチームのメンバー
髙嶋さんが指導するバヌアツナショナルチームのメンバー。左から2人目がトミー選手、同4人目がルル選手。髙嶋さんは、残りの任期で大きな課題でもある若手の育成にも力を入れたいと話す

メダルに絶対の信頼!インドの視覚障害者柔道、モディ首相も注目

インド代表としてパラリンピック出場を勝ち取った、視覚障害者柔道男子のカピル・パーマー選手と女子コキーラ選手は、ともに初めての出場です。二人から絶大な信頼を得ているのが、コーチを務めるJICA海外協力隊の長尾宗馬さん。2022年3月から、インド視聴覚障害者柔道協会に所属して代表チームを指導しています。

カピル・パーマー選手(左から3人目)、コキーラ選手(同2人目)と長尾宗馬さん(左端)
カピル・パーマー選手(左から3人目)、コキーラ選手(同2人目)と長尾宗馬さん(左端)。長尾さんは小学校から柔道を始め、履正社高から大阪高校総体に出場し個人3位入賞、摂南大柔道部で主将も務めた。大学3年時に外務省のスポーツ外交推進事業を通じてインドで柔道を教えた時の現地選手のハングリーさに感銘を受け、JICA海外協力隊でのインド派遣を希望。視聴覚障害者柔道代表チームへの指導に加え、道場での健常者への指導も行っている

23歳のパーマー選手は、身長が高く手足も長いため、遠くから足をかける払い腰が得意。20歳のコキーラ選手は、小柄で相手の懐に潜り込むような柔道スタイル。長尾さんは、選手の特徴や得意技を生かしたプレーができるように指導を行っています。

「初めて代表選手の練習を見た時、正直『これで世界大会に出られるの?』と思いました。そのくらい基本的な動作を分かっていなかったんです。技術面に加えて精神面も、基礎から教えていくしかないと思いました」

インドでは、健常者の柔道人口も国の人口比で考えると多くはなく、「空手と柔道がいっしょになっている感じ」で認知度は十分ではないと長尾さんは話します。障害者柔道の歴史も浅く、視聴覚障害者柔道協会も14年ほど前に立ち上げられたもの。レベルの高い指導者もいませんでした。そんな中で、長尾さんは根気よく基礎を繰り返し教えていきました。

不満をあらわにする選手も