中国からの分離独立は、すぐには不可能だ。しかし歴史を振り返れば、中国から属国・属領が離脱した例はいくつもある。

朝鮮とベトナムは中国との朝貢・冊封関係を1000年以上続け、19世紀にようやく離脱。モンゴルも1911年に独立を宣言した。いずれも当時の支配王朝が停滞していた時期だった。

同じことが再び起こるかもしれない。中国は1978年から鄧小平が主導した改革開放政策で経済成長を続けたが、2008年前後を境に停滞に転じている。

逆説的な言い方になるが、これは中国にとって全く悪い話ではない。スイスは1648年に独立し、小国が列強に独立を保障される見返りとして厳格な中立を誓った。

香港が「スイスモデル」に倣えば、中国はほかの4つの独立運動との緊張関係(特に台湾との関係)を平和的に解決する手段を得られるかもしれない。

そうなれば「火種のリング」の5地域は、中国本土と西側との「緩衝のリング」となり、中国が欧米と軍事衝突する可能性は低くなる。

狭量で好戦的な中国の習近平(シー・チンピン)国家主席にこの解決策を迫れば、反発するのは必至だ。だが、弱体化する中国を見識あるリアリストが統治すれば、結果は全ての関係者にとって最善のものになるかもしれない。

newsweekjp_20240701034059.jpg練乙錚

YIZHENG LIAN

香港生まれ。米ミネソタ大学経済学博士。香港科学技術大学などで教え、1998年香港特別行政区政府の政策顧問に就任するが、民主化運動の支持を理由に解雇。経済紙「信報」編集長を経て2010年から日本に住む。
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