現在の代表取締役CEOである牛山大輔氏は大学時代に海洋学を専攻し、実際に海洋調査船に乗って太平洋の環境汚染問題を研究していた経験もある。その知見を家業である美容業に活かしたいと社内に起案し、すぐに開発が着手されたのだ。

「サンゴに優しい日焼け止めを発売する」という思いはすぐに社内に共有され、商品のコンセプトからエコロジカルなパッケージ素材、そして植物や動物をモチーフにした作品で人気のアーティスト糸川優氏のイラストをパッケージに起用するなど「環境を大切にするOne Planetの一員」という強い思いが、商品化をさらに推し進めた。

「美容業としての利益を求めるだけではなく、使用する資材にもこだわって開発しています。また、社会課題に取り組むイベントや団体には、商品提供の支援をするなど、積極的に賛同して関わるようにすることで、社会課題への関心が横断的に広がることを願っています」と先のSHUJI氏は述べる。

海洋保全への理解が社会で循環していくための試み

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1950年、麻布霞町のサロン、高等美容学校の前で記念写真。着席前列左から3番目より牛山清人・メイ牛山夫妻。2人が理念としてきた「美容を通じた社会貢献」が今も社内に息づいている。

無事商品化にこぎつけた後の現在もサンゴ礁の専門家である、東海大学の中村雅子准教授を社内勉強会に招くなど海洋環境への理解を社内で深めるだけでなく、鎌倉市など海沿いの街に環境問題の識者を呼んでイベントを開催したり、環境に配慮した活動を行う団体を支援するなど、海洋保全への理解が社会で循環していくための後押しをしているハリウッド。

海洋汚染と聞くと、マイクロプラスチックなどのプラスチックごみが注目されがちだが、私たちが普段から使用している「日焼け止め」が海洋汚染の原因の1つになっていることは実はあまり知られていない。

海洋環境に配慮した商品を生み出すことで、海洋汚染に関する知識を社会に周知し共有していく──。創業からの社の理念「美容を通じた社会貢献」を商品として実直に実現していく取り組みは、社会的価値だけでなく、経済的価値をも同時に追求できることを示す好例と言えるだろう。

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