小野:私も企業からそう言われることがよくあります。「有名になりたい」とか「テレビに出ると売れるんじゃないか」という漠然とした期待はもちろん分かります。

ですが、それはすぐにできることではなく、戦略や仕掛けが必要です。まずは経営者と会話して、広報には段階があることを理解していただくことが大事だと思います。

井手:メディアとのパイプやプレスリリースの作り方はもちろん大事ですが、その前に社内で「広報」という仕事を理解してもらうことが、入り口としてはいちばん大切なのではと感じます。いろんな会社の広報の方と会話していても、そこに苦労されている人は多いと思います。

小野:私もPRの仕事を受けるときは、トップや経営層の方と直接コミュニケーションを取れることを条件にさせていただいています。広報とはどういう仕事なのか、広報を通じて会社の目指す道にどう導いていけるのかについて会話をするようにしていますね。

最初の意識合わせと期待値調整はものすごく大事だと思います。

ひとり広報の武器は、すぐに動ける「スピード感」

井手:今回の本は『ひとり広報の戦略書』ですが、「ひとり広報」のメリットを教えてください。

小野:ひとりで広報をやるとなると業務範囲も広く、手数が多く大変なのですが、広報力が強ければスタートアップであっても大企業と肩を並べられる認知度を得られたり、ブランドを育てるきっかけ作りになったりと、会社にメリットがたくさんあると思います。

ひとりであってもリソースをきちんと分配すればそれは叶えられるので、時代に合わせて企業が広報活動を行うことは必須であると考えています。

井手:ひとりでやるにはやはり優先順位付けが大事なんでしょうか?

小野:優先順位と取捨選択は基本ですね。

今日の話題が明日消えるぐらい情報が早い中で、ひとり広報の武器は「すぐに動けるスピード感」だと思っています。

井手:常にアンテナを張っておくことが大事ですね。

小野:社内だけではなくて社外にどれだけ目を向けられるか。そして社会に対して目を向けられるかがすごく大事です。

私は常日頃からメディアを横断的に見るようにしています。テレビ、新聞、雑誌、書籍、SNSなど話題のものには極力触れるようにしていますね。

普段の雑談の中で、自然に話題に上がるものの中にもヒントが隠されています。私は仕事柄意識的にアンテナを張るようにしていますが、そうではない自然な会話の中でも、話題になるものは気づきを与えてくれるものです。一般生活者がどこに引っ掛かりを持っているのかに意識的に注目してみると良いと思います。

アイデアのタネは「世の中」にある
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