経済縮小で崩壊のリスク

そういう事情があれば、公務員(正規の給料はたかが知れている)は自らの地位を利用して最大限に稼ごうとする。だから賄賂が横行する。結果、国民への奉仕は二の次になる。これがフン・セン政権下のカンボジアで汚職が蔓延した根本原因だ。

この現実を踏まえて、本稿の冒頭で提起した問い(この世代交代でカンボジアは今よりも寛容で民主的な社会になるか)に戻るなら、多くを望めないことは明らかだ。仮にフン・マネットに改革意欲があっても、できることは限られている。

だがカンボジアの経済成長が止まり、縮小に転じたらどうなるか。このシステムは維持できない。

カンボジア経済の先行きは明るくない。主力の観光業や不動産業、建設業は低迷しているし、途上国にしては一般家庭の借金が多すぎて消費を圧迫している。これで中国経済が減速すれば、コロナ禍以前に流入した大量の中国資本に支えられたプラス経済も終焉を迎えるだろう。

そうは言っても、フン・セン体制は長年にわたって盤石だった。簡単に崩れるとは思えないが、常にリスクを抱えているのも事実だ。経済に逆風が吹けば、いつ倒れてもおかしくない。

From thediplomat.com

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます