「夏季キャンプ」を名目とした子供の招集という手口が明らかになった今、今後は同様の手段は使えなくなるとみられている。また逮捕状発出後、ロシア当局は今年4月に「子供を帰してほしいウクライナ人の親は名乗り出るように」との声明を出し、ごく一部の子供は逮捕状発出後に帰還を果たしている。

国際社会の継続的な取り組みも極めて重要である。既に22年11月、G7は初の法相会合を開き、「ベルリン宣言」を採択した。同宣言は子供の連れ去りを「最も強い言葉で非難」し、ロシアの戦争犯罪にG7諸国が一丸となって取り組む意思を表明した。この取り組みは今年5月のG7広島サミットで採択された「ウクライナに関するG7首脳声明」にも引き継がれ、子供の連れ去り問題が言及された。

6月に南アフリカをはじめとしたアフリカ7カ国の代表団がウクライナの首都キーウを訪問した際にも、ロシアとウクライナの双方に対して提示した「10項目の和平案」では子供の帰還問題に言及がなされている。ロシアによるウクライナ侵略を強く批判せず、ロシアとの関係を損ないかねない行動には慎重なアフリカ諸国でさえ、この問題を無視できなくなっていることが浮き彫りになった。

ロシアによるウクライナ人の子供たちの組織的な連れ去りは戦争犯罪である。子供たちの帰還には多くの困難が伴い、長い時間を要するかもしれない。われわれにできることは、この戦争犯罪が忘れ去られないよう声を上げ、真相究明のために連携し、一刻も早い子供の帰還をロシアに要求し続けることである。

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます