<ロシアとの全面戦争を恐れるアメリカがいまだに供与を拒否している長距離ミサイルが、ロシア支配地域の重要な標的を次々破壊している>

ロシアが実効支配するクリミア半島キロフスク郡にあるロシア軍の施設で7月19日に爆発が起きた事件について、ウクライナ軍が長距離巡航ミサイル「ストームシャドウ」で攻撃したのではないか、という憶測が広まっている。

    

ロシアが任命したクリミア自治共和国のセルゲイ・アクショーノフ首長は、事件について、ロシア軍の訓練場で火災が発生し、周辺住民2000人以上が避難していると述べた。メッセージアプリ「テレグラム」のロシア連邦保安庁とつながりのある複数のチャンネルは、同基地で複数回にわたる爆発があったと報告したが、アクショーノフは火災の原因についての詳細は明らかにしなかった。

ウクライナはクリミア半島にあるこの基地を攻撃したことを認めていないが、ロシアの一部の軍事ブロガーやテレグラムのチャンネルは、ウクライナ政府が同基地を「ストームシャドウ」で攻撃した可能性を示唆している。

長距離巡航ミサイル「ストームシャドウ」は、ウクライナが6月初旬から始めた反転攻勢に先立って、5月にイギリスがウクライナに供与したものだ。

「偽の声明文」が出回る

ミサイル技術の専門家であるファビアン・ホフマンは5月にツイッターへの投稿で、「ストームシャドウ」にはクリミア大橋を攻撃できる潜在能力があると指摘していた。クリミア大橋はクリミア半島とロシア本土をつなぐ唯一の橋であり重要な補給路で、その破壊はウクライナ軍の重要な戦略目標になっている。

ロシア政府寄りで110万人の登録者を擁するテレグラムチャンネル「Rybar(リバル)」と、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」とつながりのあるチャンネル「グレーゾーン」はいずれも、今回の攻撃は「ストームシャドウ」を使って行われたものだと主張した。ロシアの国内ニュースを扱うチャンネル「Brief」も、同様の推測を伝えた。

本誌はこの件について、ロシアとウクライナの外務省にメールでコメントを求めたが、返答はなかった。

これまでのところ、「ストームシャドウ」が使われたことを示唆する証拠はない。ウクライナは攻撃を認めておらず、ロシア政府もまだウクライナ政府を名指しで非難はしていない。だが7月19日の朝には、ウクライナ国防省情報総局のキリロ・ブダノフ局長が攻撃を認めたものだとする「偽の声明文」がソーシャルメディア上に出回った。

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