■悪いことばかりではない

カリフォルニア大学のノーネキは、AIの脅威にパニックになるのは早計だと指摘する。「二足歩行を始めて以来、人類はさまざまな技術革命を経験してきた」と彼女は言う。「今回の技術革命にも順応し進化していくことだろう。AIに取って代わられるのではなく、AIをうまく利用するようになるはずだ」

AIの活用が大きな利益をもたらす可能性もある。AIは大量の仕事を迅速に低コストでこなすことができるから、消費者は今よりいい製品をはるかに安い価格で手に入れることができるようになるかもしれない。企業の売り上げも伸びるだろう。ただそれが経済全体の底上げにつながるのか、労働者が仕事を失う一方で企業幹部と投資家だけが甘い汁を吸うことになるのかは未知数だ。

AIによってさまざまなサービスが改善されていく可能性もある。AIのカスタマーサービスが、消費者の困り事をきちんと解決できるようになる可能性もある。スマホのアプリは個々のニーズに合わせてカスタマイズできるようになるかもしれない。ホームアシスタントは家族一人一人の好みに合わせた音楽を探してきたり、高齢者の見守りをしたり、安売りの食品やなかなか手に入らないコンサートのチケットを探して入手してくれるだろう。人間社会におけるカネやモノや情報などのやりとりを「AIが改善してくれるかもしれない」とカランは言う。

変化が激しすぎるせいで、予測はなかなか難しい。「インターネットの初期の頃と同じだ」とニューヨーク大学のシーマンズは言う。「ネットは働き方や遊び方、やりとりの仕方を劇的に変えるに至った。AIも同じことになるだろう」

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