好きを追究することが「利他」につながる

大賀:『冒険の書』では、『後世への最大遺物』にふれながら地球全体をよくしていくことが人間ならではの仕事とも書かれていました。「好きの追究」と「人や社会のため」をつなげていくためには、何が必要だと思いますか。

後世への最大遺物・デンマルク国の話

 著者:内村鑑三

 出版社:岩波書店

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孫:実は、本当に好きを追究して自分自身が充足すると、「もっと楽しくするには?」と、自然に自分以外の人の存在のことを考え始めるんです。たとえば、楽器をうまく弾けるようになったら、次は「周りの人と演奏するともっと楽しめそうだな」と人を誘うようになる。すると一緒にセッションを楽しむ人が増え、今度は演奏を楽しそうに聴く人たちが現れる。「じゃあ聴衆が喜んでくれるようになるには?」と考えるようになり、結果的に「利他」につながっていきます。

遊びだからこそ、どこまでも追究できる。そして、どこまでも追究できるからこそ、最終的には「究極の自己満足」、すなわち「利他」につながっていくんだと思うんです。

大賀:歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリは『ホモ・デウス』で、AIやアルゴリズム支配に警鐘を鳴らしました。人は神に近づこうとしてAIにすべてを委ね、ゲームばかり。そんな堕落した生物のどこが「神が選んだ種」なのかと嘆いていて、私もそれを恐れていましたが、こうやって好きを追究していいのかと勇気をもらいました。

ホモ・デウス(上)

 著者:ユヴァル・ノア・ハラリ

 翻訳:柴田裕之

 出版社:河出書房新社

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孫:ハラリさんはまじめな人間観の持ち主ですよね。僕は、人間は良い意味でもっと不まじめだと思っています(笑)。AIはメリトクラシーの呪縛から人間を解放してくれるリベレーター(解放者)。人はもっとラクに生きられるし、もっと遊びまくれるよと。YouTuberも、視聴者を増やそうと流行りを追う人より、自分が好きなことを楽しそうにやっている人の方が結局長く活躍しているし、魅力的ですよね。こうした現象があらゆる業界で起きていく。AIによってその傾向が加速するはずです。

大賀:学びと遊びは対極のものではないし、遊びはもっと広いもの。人間本来の欲求をドライブしていくと、自然と利他につながり、めぐりめぐって自分の生きがいにもなっていく。孫泰蔵さんとの対談で、人類に対する希望を感じました。フライヤーも、本の知にふれることの喜びを自分たちが実感して、それが周囲に広がっていくよう精進したいと思います。


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孫泰蔵(そん たいぞう)

1996年、大学在学中に起業して以来、一貫してインターネット関連のテック・スタートアップの立ち上げに従事。2009年に「アジアにシリコンバレーのようなスタートアップのエコシステムをつくる」というビジョンを掲げ、スタートアップ・アクセラレーターであるMOVIDA JAPANを創業。2014年にはソーシャル・インパクトの創出を使命とするMistletoeをスタートさせ、世界の社会課題を解決しうるスタートアップの支援を通じて後進起業家の育成とエコシステムの発展に尽力。そして2016年、子どもに創造的な学びの環境を提供するグローバル・コミュニティであるVIVITAを創業し、良い未来をつくり出すための社会的なミッションを持つ事業を手がけるなど、その活動は多岐にわたり広がりを見せている。

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flier編集部

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