例えばRTの「ドンバス:私は生きている!」はYouTubeの約40の匿名チャンネルにアップされ、何万人もの目に触れていた。この動画はラスト近くで「NATOは(ナチスドイツの軍事組織)ドイツ国防軍や(強制収容所を運営し、敵対者を処刑した)ナチス親衛隊の再来」と主張している。

ニューズガードの指摘を受けてYouTubeは動画を削除したものの、YouTube上で拡散できた理由についてはノーコメント。監視対象はフォロワー数の多いアカウントだけかという質問にも回答はなかった。

「ノーブランド」を隠れみのに

匿名アカウント以外にもRTの映像を掲載しているチャンネルが少なくとも5つあった。運営しているのはロシア外務省所管の行政機関で文化交流などを担当する「独立国家共同体・在外同胞・国際人道協力局」だという(EUは同局が「歴史修正主義を含むロシア政府のでっち上げ」を拡散しているとして、昨年7月から制裁を科している)。

ロシア政府系ニュースに対する規制を免れているのではとニューズガードが指摘したコンテンツのうち、一部を削除したと、YouTubeからは連絡があった。確かにそれらのチャンネルからRTのドキュメンタリーが削除されていたが、チャンネル自体は閉鎖されていなかった。

RTのマルガリータ・シモニャン編集長は、RTがノーブランドのチャンネルを利用してYouTubeの規制を回避していることを公言。昨年4月には国営テレビのロシア1で「自分たちのブランドを使わずにYouTubeにチャンネルを開設、2日ほどの間に何百万回も再生される。3日後にYouTube側が気付き、閉鎖する」と発言した。

プロパガンダ動画を拡散しているアカウントはRTが裏で糸を引いているのか。RTからの回答はなく、ニューズガードも突き止められなかった。それでも以上の調査結果が示すように、ロシアのプロパガンダはロシア国営メディアに対するYouTubeの規制をかいくぐってはびこっている。

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