中東のニュース専門チャンネル「アルジャジーラ」は、相手がアメリカだろうが、中東の独裁国家だろうが、気にかけず大胆に報道の自由を貫いてきた・・・。
チュニジアに端を発したジャスミン革命はアラブ諸国を席捲しました。日本ではフェイスブックなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)が大きな影響力を発揮したと報じられましたが、あの大群衆が、みんなフェイスブックを使っていたわけではありません。識字率の低い国もある中で、反政府集会に多数を動員できた理由のひとつは、アルジャジーラのアラビア語放送でした。
アラブ諸国は、みんなアラビア語を話していますから(当たり前ですね)、アルジャジーラの放送を見ていれば、自国の反政府運動の様子もわかるのです。
さすがアルジャジーラと思いたくなるでしょうが、アルジャジーラにも不文律のようなものはあります。社として公式に認めているわけではありませんが、私が見るところ、「イスラム教徒にとっての聖地メッカを守護する国王のいるサウジアラビアと、アルジャジーラ本社があるカタールについては、慎重な報道を心がけること」です。
アルジャジーラを抱えるカタールは、放送内容をめぐって、アラブ各国からしばしば非難を受けてきましたが、カタールの首長は、動じません。放送内容にも口を挟むことはないようですが、そこは阿吽の呼吸というものでしょう。
ところが、そのカタール国内では、「自由は厳しく統制されている。政治活動は世襲の君主制で、政党は1つもない」と、本誌日本版6月15日号は書いています。
本誌がカタールを取り上げた記事のタイトルは、「酔っぱらいが攻めて来る!」。カタールが、2022年のサッカーワールドカップの開催国になったからです。
記事のトーンは、次の文章に集約されます。
「カタールは保守的なイスラム教国。大酒を飲んだり公然と男女がいちゃついたりするのが当たり前、と思っている世界のサッカーファンを1カ月も受け入れることができるのか」
カタール国民にもサッカーファンは多いですから、ワールドカップを開催できるのは、誇らしいことでしょう。でも、その結果、フーリガンが大挙して来たら・・・。彼らは、路上でもビールをラッパ飲みして騒ぐのが楽しみなのですから、カタール国内に強いインパクトを与えることは確かでしょう。
それによって、カタールが開かれた国になるのか、それとも「これだから異教徒は度し難い」と軽蔑するのか。
でも、開催は2022年。11年後ですよ。その頃、果たして中東はどうなっているのか。熱心なサッカーファン並みに気の早い記事のように読めてしまったのですが。