「たった24時間で420億ドル」――。経営破綻した米シリコンバレー銀行(SVB)で起きたこうした急激な預金流出は、金融規制当局が直面する新たなリスクを浮き彫りにしている。すなわち、ソーシャルメディア主導の預金取り付けだ。

経営が危ないとみなされた銀行の前に預金者が長蛇の列を作るという光景は、もはや過去の出来事になろうとしている。デジタル技術が加速する中で育ってきた今の世代の顧客は、スマートフォンを数回タップするだけで預金を引き出せる。

今月6日からの週にソーシャルメディア上で、有力投資家ピーター・ティール氏のファウンダーズ・ファンドを含むベンチャーキャピタル数社がSVBから現金を引き揚げるよう助言しているとの情報が伝わると、株価は急落。顧客が一斉に逃げ出した。当局がSVBを閉鎖したのは10日になってからだった。

スイス政府の肝いりで19日、UBSによって救済合併されることが決まったクレディ・スイスも、ソーシャルメディアの恐ろしさは十分過ぎるほど身に染みている。

というのも昨年、ソーシャルメディア上の不確かな情報のせいで顧客が離れ、同行傘下の幾つかの法人の流動性の要件が未達になってしまった。

コロンビア大学リッチモンドセンターのトッド・ベーカー上席研究員は「人々が非常に素早く大量にコミュニケーションできるという事実が預金取り付けを巡る動きを様変わりさせ、恐らくは流動性リスク管理について、われわれが考えるべき方法も変えたのだろう」と述べた。

富豪で大手ヘッジファンドを率いるウィリアム・アックマン氏は、SVB破綻の数日後、預金者は全ての現金を完全に引き出すことができると政府が明確に保証しない限り、オンライン口座とソーシャルメディアの存在による預金取り付けに対して、世界中で安全と言える銀行はなくなった、と警鐘を鳴らした。

規制当局も預金取り付けが、かつてないほど急速に進む可能性に向き合っているという自覚はある。だが、具体的にツイッターが生み出すパニックに対し、どう対処できるかは不明瞭のままだ。

対話戦略の欠如