例えば、岩波ホールみたいなミニシアター(フランス語ではCinéma d’art et essai〔芸術実験映画館〕)が改修工事や設備更新をする場合は、全体のコストの3割までCNCが負担する。大手の映画館が上映しない国内外の作品を紹介する小さな映画館を守ることや、人口の少ない市町村でも映画のネットワークを存続させることが目的だ。

小さな映画館にお客さんを呼び続けるためには、新しい設備などに投資しないといけないことを国が理解している。

日本の場合、映画製作には国からある程度の支援があるが、映画館は文化にとって欠かせない施設として扱われていない気がする。コロナ禍で多くのミニシアターが経営危機に陥ったときも、国からの支援は十分行われず、映画人たちが中心となって支援基金を立ち上げていた。

「昔は政治家も来てくれたが、今の政治家は外国映画をあまり見に行かないのではないか。国にとって映画は娯楽であり、文化ではない。残念だ」と岩波さんも言う。

7月29日が来る前に、岩波ホールを救う方法をなんとか見つけたい。

magTokyoEye_Nishimura.jpg西村カリン

KARYN NISHIMURA

1970年フランス生まれ。パリ第8大学で学び、ラジオ局などを経て1997年に来日。AFP通信東京特派員となり、現在はフリージャーナリストとして活動。著書に『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』など。
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