<頻繁な遅刻や午後の居眠り。そんな従業員への対処には、まず「事例性」と「疾病性」に分けて考える必要がある>

「問題がある従業員がいて......」というご相談がよくあります。

「どうやったら問題を解決・改善できるのだろうか?」というのが重要な論点であることはもちろんですが、問題がこんがらがって、「改善できなければ、解雇できないだろうか?」というところまで追いつめられていらっしゃる経営者の方にもお会いします。

しかし、解雇は要件が厳しく簡単にはできません。そこで今回は、産業医である筆者が、"解雇"を考えるほど追いつめられる前に、経営者やマネージャーの方が現場でできる対応についてご説明します。

遅刻と居眠りの多い従業員、どうする?

よくあるご相談として、"遅刻"と"居眠り"があります。以下は、架空の事例です。

Aさんは20代男性、入社して半年の新入社員です。入社直後から「大事な会議に遅れる・仕事中に寝ている」ということが月に数回みられていました。まだそれほど難しい業務は担当していませんので、同僚や上司がカバーしていましたが、「また遅刻か」「ほぼ毎日居眠りしているよね」と、周囲からの信頼は失われつつあります。最近では「体調が悪くて」という理由での遅刻や、当日連絡による有給休暇の取得が増えています。体調不良と言われると、上司も強く注意することができません。

Aさんのような方が部下にいる場合、どのような対応が望ましいのでしょうか?

まず、何が問題なのかを関係者で共有することから始めましょう。同じ事象でも人によってとらえ方や感じ方が異なるものです。誰が、何に困っているかについて、客観的な事実を集めましょう。

上司は「Aさんのマネジメントの方法について困っている」、同僚は「Aさんの業務の穴を埋めることに疲れてきている」、Aさんは「朝起きられない、日中に眠くなることに困っている」と、立場によって困りごとの内容や困り度合いが異なるということはよくあります。

「事例性」と「疾病性」

誰が何に困っているかを整理したら、次に行うことは"事例性"と"疾病性"に分けて考える"ことが重要です。

【参考】産業医はじめの一歩-「働く人・企業」のニーズをつかむ!基本実務の考え方と現場で困らない対応/羊土社

■事例性とは

事例性とは、現場で起きていること(職務上問題になっている客観的な事実)のことです。現場で起きていることを説明するときに、つい個人の評価や感情が反映されてしまうので、事例性を描写する際には、できるだけ客観的に記述してみましょう。

例えば以下のような言い換えをしてみましょう。

(参考記事)「仕事に集中していない」要因は会社にあり?問題社員を生み出す環境を考えてみる

注意指導を繰り返すだけでは改善は難しい