「大統領にとって、批判より怖いのは報道されないことだ」

 なるほどねえ。政治家一般に言えることでしょうね。いや、お笑い芸人だって、タレントだって、同じことかも。批判されているうちが花なのですね。

 ここでいう「大統領」とは、もちろんアメリカのオバマ大統領。本誌日本版3月24日号で、本誌ワシントン支局のファインマン記者が書いている記事の中に出てくる文章です。日本版の記事の見出しは、「オバマは堂々とメディアと決別せよ」。

「メディアは、もうオバマに飽きてしまった」というのです。主要メディアは、「オバマは役に立たないし、ゲームのやり方を知らず、何一つやり遂げていない」とみなすようになったとか。

 なんだか、どこかの国の首相とメディアの関係と酷似しているようにも見えます。

 そこでファインマン記者は、オバマにこう助言します。

「オバマは、われわれメディアが書いたり言ったりすることを気にするのをやめるべきだろう」「メディアがオバマに好意的な解釈をするなどと期待するのは間違っている。われわれは平気で発言をねじ曲げる。友人としては頼りがいがなく、最低だ。世論の風向きをうかがい、支持率が下がれば走り去る」

 なんとも大胆なアドバイス! メディアの中にいる人間として、ファインマン記者は自虐的ですらあります。

 でもまあ、私もファインマン記者の見解に頷いてしまいます。大統領も首相も、自分を取材する周囲の記者たちと良好な関係を築き、仲良くしたいと考えますが、記者たちにも仕事があります。取材対象を批判するのも大事な仕事。結局、取材された政治家は、記者たちに不信感を抱きます。こうして両者のハネムーン期間は終わります。

 とはいえ、相手に耳障りであっても、真実を告げ、自分の正体を明らかにするのは、真の友人である証拠。ファインマン記者は、実に逆説的に、オバマへの愛の讃歌、応援歌を歌っているのではないでしょうか。

 記者という人種は(私もそうですが)、素直ではなく、露悪趣味で、ひねくれているものなのですから。

 この記事が言いたかったことを、私が翻訳しましょう。

「オバマよ、メディアを気にせず、己が信じた道を進め。されば、道は開かれるであろう」