【5】「戦略の窓」はまだ開いている?

2002年の第16回党大会では、中国が「発展の重要な戦略的機会の時期」を迎えていると宣言された。既存の戦略的・経済的・外交的秩序の枠内で動きつつ、大国に発展する絶好のチャンスを手にしているという意味だった。

背景を説明すれば、その前年に中国はWTO(世界貿易機関)に加盟している。当時、アメリカをはじめとする自由民主主義国は中国との貿易を、中国の台頭がもたらす戦略的課題よりも重視していた。

それから15年後の前回党大会では、この「戦略の窓」はまだ開いているものの、残る隙間はごくわずかだと指摘された。「今も発展の重要な戦略的機会の時期であり、展望は明るいが、課題は厳しい」と、習は政治活動報告で述べた。

言い換えれば、中国は強まる圧力に直面し、おそらく新たなアプローチが必要だということだ。中国が取る行動は、世界秩序を基本的に自国の戦略的台頭に資するものと捉えるか、その逆と見なすかによって大きく違ってくる。

この5年間に激化した地政学的競争、中でも米中対立は中国の課題をさらに深刻なものにしている。

中国国営メディアによれば、習は今年8月にも「直面する機会と課題に新たな変化が起きている」と発言。「行く手に待つ苦闘は長期的かつ複雑で困難だと、党全体が十分に認識しなければならない」と語った。

党大会で発表される政治活動報告には権威がある。自国の戦略的環境に対する中国政府の見方を示すものとして、極めて有益な存在だ。

From thediplomat.com

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