民間人にもかなりの犠牲者が出ている。死亡者や避難民の確かな数はいまだ得られていないが、ルガンスク州のセルヒィ・ガイダイ知事は6月5日、同州の都市セベロドネツィクには、侵攻前におよそ10万人が住んでいたが、残っているのは推定でわずか1万5000人だと発表した。

完全に破壊されたセベロドネツィク近郊を写した衛星写真 @AhmedSh75151405/Twitter

一方でロシア側は、歩兵部隊の頭数が不足している。ロシア政府はこれまでのところ、国民総動員を発令しないことを選択している。そのため、最近のロシア軍による進軍は、兵士よりも砲撃に、かなり大きく依存したかたちになっている。

ロシアの「名目」とはかけ離れた行動

そしてロシア側に言わせれば、この戦略は功を奏しているようだ。

ロシアの軍事専門家ウラジスラフ・シュリーギンは本誌に、「われわれは4月末以降、先端技術を利用した偵察行動と圧倒的な火力を組み合わせている」と述べた。「ロシア軍は機動大隊を複数有しているが、われわれにとって最も効果的なのは、砲撃で敵をとにかく苦しめる戦い方だ」

ロシア軍は、まずはウクライナの諸都市に激しい砲撃を加えてから、ゆっくりと着実に進軍している。その徹底された攻撃手法により、都市は完全に破壊され、守るべきものはいっさい残されていない状態だ。

このやり方は、ロシア政府が言う「特別軍事作戦」の目的とはまったく食い違っている。ロシア政府によれば、特別軍事作戦は、ウクライナ東部と南部に暮らすロシア系住民を「解放する」ことが目的のはずだからだ。

ロシアによる侵攻はむしろ、ウクライナのロシア語圏を壊滅させる戦争へと変わってきている傾向が強い。ウクライナが領土を死守するために必要な重火器が西側諸国から届き始めているなか、前線では砲撃が届くすべての場所で、徹底的な破壊が続きそうだ。

(翻訳:ガリレオ)

【画像】ほとんど変化のない双方の支配地域
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