<米国のアフガニスタン撤退から数年。中東・中央アジアで存在感を強める中国は、今や過激派組織にとって主要な攻撃対象となりつつある>
9.11米同時多発テロを発端とする「テロとの戦い」において、中国は国際社会における傍観者、あるいは自国の内政問題に固執する一当事者に過ぎなかった。
しかし、2020年代半ばを迎えた今、その構図は変化している。米国のアフガニスタン撤退から5年あまりが経過し、中東・中央アジアにおける米国のプレゼンスが希薄化する中で、巨大経済圏構想「一帯一路」をグローバルに推進する中国は、皮肉にも過激派組織にとって主要な標的となりつつある。
カブールでの対中テロ イスラム国ホラサン州(ISK)の宣戦布告
2026年1月19日、アフガニスタンの首都カブールで発生したテロ事件は、一帯一路を押し進める中国に改めてテロの脅威を知らしめた。現地のホテル内に併設されていた中華料理店が周到に計画された爆破テロに遭い、中国人1名を含む7名が死亡した。
事件後、即座に犯行声明を出したのは、過激派組織「イスラム国ホラサン州(IS-K)」であった。彼らは公式メディアを通じ、今回の攻撃を「ウイグル族に対する中国政府の虐待への報復」と明示し、中国人が攻撃対象であることを強調した。
ISKはこれまでにも、中国がタリバンとの関係を深め、リチウム鉱山などの資源開発やインフラ整備に関与することを「新植民地主義的」と批判してきた。彼らにとって中国は、共産主義という無神論を掲げながらイスラム教徒を抑圧する存在であり、かつ宿敵であるタリバンに経済的生命線を与える最大の障壁となっているのである。