<バランスをとるための尻尾を含む手足の動きは、実物のネズミのコンピュータ・モデリングに基づいたもので、そのリアルさに驚かされる>

災害時に、救助隊が入れないほどの狭い空間に閉じ込められた要救助者へ非常食を届けることとは難しかった。閉じ込められた人の存在は確認できても、隙間なく積み重なる瓦礫が隔てる。

そこに光明を指す存在として期待されるのが、「ロボットネズミ」だ。4月、中国の科学者チームが開発に成功したことを、査読付きのジャーナル「IEEE Transactions on Robotics」で発表した。

ロボットネズミは狭い場所を通り抜け、坂道を登り、障害物を乗り越え、雪の上を歩くことができる。地震で瓦礫の下に閉じ込められた人など、人間の手が届かない狭い通路を通り抜け、要救助者の元に医薬品や非常食を運ぶのに役立つという。

北京理工大学と清華大学の合同研究チームが、専門誌「IEEE Transactions on Robotics」に研究成果をまとめた論文を発表した。

主執筆者である北京理工大学の教授で、知能ロボット研究所のシー・チン副所長によると、開発チームは2019年からプロトタイプを改良しており、2025年にはロボットネズミを市場投入する計画という。

都市開発での活躍も期待

「また、ロボットネズミはスマートシティ開発の鍵となる、複雑な地下パイプラインのネットワークを誘導することができます。より大きな検査ロボットがロボットネズミをパイプラインに運び、そこで小さなパイプにロボットネズミを入れて点検・確認作業ができる」と、チン副所長。

ロボットネズミは、実際のネズミのリアルな動きを追求して設計されている。しゃがんだ状態から立ったり、天井高が低い空間では地面に低い姿勢で這ったりすることも可能だ。

また、曲がった狭い通路を蛇行したり、手足や頸椎を制御して重心を調整することで転倒しても自力で起き上がる。起伏の多い地形での作業も問題ないなどが論文で報告されている。

ロボットネズミは3Dプリンター製

全長19cm、重量220gのこのロボットは、30分間使用可能なソーラー充電池で駆動し、パソコンやスマホなどのデバイス上から無線LANで遠隔操作することができるそうだ。

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上から見たロボットネズミ

平均歩行速度は毎秒15cmで、センサーの設置や軽貨物の運搬のために200gのペイロードを備えている。

実はこのロボットネズミ、ラットのX線記録から骨格構造を観察し、3Dプリンターで作られた部品を使って1週間ほどで組み立てられると、チン副所長は言う。

頭部と胴体は感光性樹脂製で、4本の手足は高強度ナイロンで形成され、強度と剛性を確保している。柔らかいゴムで覆われた尻尾はで上下に動かし、移動する際にバランスを保つサポートをする。

今後研究チームは2025年を目掛けて、敏捷性の向上、センサーの増設、機械の防水化など、ロボットネズミの改良を進めいていく計画だ。

ロボットネズミが動き回る姿