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ソガバレの親中姿勢に反発するマライタ人らが首都ホニアラで行ったデモは暴動に発展。中国人経営の商店が放火や略奪に遭うなどの騒ぎとなった(昨年11月) GEORGINA KEKEA VIA REUTERS

それから4カ月、どうやらマライタ人の警告は正しかったようだ。ソガバレは、平和維持部隊のおかげで権力を維持するだけでなく、中国と安全保障協定を結ぶことで、中国に権力の座を保証してもらおうとしている。その決断はソロモン諸島だけでなく、アジア太平洋のパワーバランスも大きく動揺させている。

ただ、中国との安全保障協定の厳密な内容は、まだ明らかになっていない。閣僚でさえ全員がその内容を把握しているわけではないようだ。協定の内容を機密扱いにするのは、ソロモン諸島の「主権」を守るためだと、ソガバレは主張した。

だが、リック・ホウエニプウェラ前首相は、3月に草案がソーシャルメディアに流出していなければ、「安全保障協定は国民に秘密にされたままだっただろう」と語る。

中国の大規模な介入を可能にする文言や権限

ソガバレの最近のコメントと、草案のリークから1週間もしないうちに基本合意が発表されたことを考えると、最終版はリークされた草案と非常に近い内容である可能性が高い。そこで草案を改めて見てみると、協定は全7条から成ることが分かる。その条項は、中国がソロモン諸島に大きく介入することを可能にする、曖昧な文言や権限でいっぱいだ。

中国はこの協定に基づき、ソロモン諸島で大規模かつ多様な軍事活動や情報活動をできるようになる。なにより心配なのは、中国が「警察、武装警察、軍の人員など法執行機関や武装部隊」を配置して、ソロモン諸島の治安維持に深く関与できるようになることだ。

また、両国とも「自らの必要に応じた」措置を取ることができるという表現は、中国が南西太平洋で一段と軍事的プレゼンスを拡大する可能性を感じさせる。

もう1つの大きな懸念は、この協定が、中国の軍人らに「法的・司法的な免責」を与えていることだ。ソロモン諸島国立大学のトランスフォーム・アクォラウ教授は、この部分が今回の安全保障協定の最大の問題点の1つだと指摘する。

「国家主権の重要性を断固として唱える首相が、主権の基本的な機能である生命と財産の保護を、外国の軍隊に譲り渡すなんて皮肉な話だ」

これまでの歴史を考えれば、中国軍の出動を招くような騒乱が起こることはほぼ確実だ。ソロモン諸島の財政難を考えると、その懸念は一段と高くなる。昨年の騒乱と、今年に入り新型コロナウイルスの複数の変異株が一気に入ってきたせいで、この国の経済は大打撃を受けた。

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