団結して社会改革を目指す

だから「Kポップなんてヘアジェルとダンスだけ」と決め付けるのは間違いだ。Kポップのファンは侮れない。彼らは行く先々で独自のコミュニティーを生み出している。

しかも今のアメリカでは、ARMYは政治色を強めている。アメリカのKポップファンは若くてエネルギッシュで、あらゆるソーシャルメディアに精通し、進歩的な世界観に強く傾倒している。

そしてコロナ禍で外出制限があっても、自宅のパソコンやスマホから社会改革の運動はできることを証明した。

2020年6月には、アメリカのKポップファンがツイッターで白人至上主義者のハッシュタグを乗っ取り、無意味な文章や人種差別反対のメッセージを大量に投稿した。

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トランプ前米大統領のオクラホマ州での集会。空席が目立つが、これはKポップファンたちが仕掛けたとされる(2020年6月) AP/AFLO

同じ頃、(証拠はないが大方の推測では)KポップファンはTikTok(ティックトック)ユーザーと組んで、米オクラホマ州タルサで行われたドナルド・トランプの選挙集会のチケットを何千枚も予約し、でも実際は会場に行かないという手法でトランプに恥をかかせた。

素晴らしい! 私はBTSの魅力はその音楽のみにあると考えていたが、どうやらBTSのファンは音楽だけでなく、コミュニティーの活動も重視しているようだ。

Kポップのアクティビズムは、特に社会的に孤独を感じるこのコロナ時代にあって、断絶とは対極にあるものだ。彼らにとって大事なのは共通の帰属意識と共通の善だ。

カリフォルニア州在住で18歳のBTSファンが「グッド・トラブル」という雑誌に語っていた。

「ARMYになる前の私は、ひどい状態だった。でも孤独感を和らげてくれる音楽に出合って、救われた。BTSの音楽を聴けば聴くほど、彼らのメッセージが心に響いた」

こうしたファン心理を考えると、Kポップファンのアクティビズムと極右の過激主義も対極にあることがよく分かる。どちらの運動も「帰属し得るサブカルチャー」を提供している点は同じだが、そのサブカルチャーの質はこれ以上にないほど異なっている。

別なKポップファンの男性(43)は同じグッド・トラブル誌に、アメリカでは「トランプ主義者による有害なもくろみとは逆の」本質的に前向きな現象が起きていると言い、「BTSは言葉や文化、年齢の壁を越えて希望に満ちた楽観主義の好循環を生み出した」と指摘している。

「世界を守る」Kポップファン

このファンが語るBTSの世界は、極右活動家の多くが存在するダークウェブの世界からは程遠く、両者の違いを理解することが重要だ。

そもそも人が過激な思想に走るのは、特定の信仰やイデオロギーを信じるからではない。個人的な性格の問題でもない。

「カルト的」で「極端」というレッテルを貼られがちだが
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