<ワクチン反対のトラックデモが、カナダの首都機能を麻痺させた。その先例は、70年代の石油危機の最中にピークに達したアメリカのトラックデモだが、当時とは違いもある>

カナダでは新型コロナのワクチン接種義務化に抗議するトラック運転手のデモで首都機能が麻痺、ジャスティン・トゥルドー首相は試練に直面している。

このデモは重要な点を痛感させる。まず、ロジスティクスのプロであるトラック運転手はデモの組織がうまいこと。そして、トラックで大混乱を生じさせるのに台数は大して必要ないことだ。

実際1970年代のアメリカではトラックによる道路封鎖は日常茶飯事だった。

トラック軍団の反乱は1974年と1979年の石油危機の最中にピークに達し、混乱は広範囲に及んだ。違法な「山猫スト」が港湾や高速道路を封鎖し、サプライチェーンを混乱させた。

当時の状況は現在のカナダのデモの先例として示唆に富む。

今回ソーシャルメディアやクラウドファンディングがデモを支え、政策立案者を混乱させ、オンラインの自由の限界を試している。同様に、アメリカのトラック運転手も1973年末に始まったデモで、仲間との連携に新たな通信網を取り入れた──CB無線だ。

当時リチャード・ニクソン大統領はOPEC(石油輸出国機構)の禁輸措置による石油不足に対処するため、時速55マイル(約89キロ)の制限速度などの政策を打ち出した。

これに対し、トラック運転手はCB無線でスピード違反摘発装置や安いディーゼル燃料の情報を交換。全米で世界最大規模の交通渋滞を組織した。

「トラック運転手らによるCB無線の不適切な使用が多くの州で法の執行に深刻な問題を招いている」と、米連邦通信委員会(FCC)は75年の議会への報告書で指摘。

移動部隊を配備してCB無線を傍受し違反者には罰金を科した。無免許の利用者を減らすため無線免許の費用を引き下げ、送受信範囲を大幅に拡大する増幅器を禁止し、チャンネルの用途を規制した。

FCCと地元警察はCB無線チャンネルの不正使用の監視に時間を割いた。デモなどを組織しやすいCB無線のメリットは監視も容易にした。

世間の反応は冷ややか

言論の自由と非合法活動の組織。厳しく監視されるネットワークとよりオープンなネットワーク。新たなプラットフォームの有益な利用と問題となる利用。

こうした葛藤はその後も根強く、カナダの首都オタワではデモ隊がクラウドファンディングで調達した資金をめぐり裁判所が使用停止を命じる事態に発展した。

「『コンボイ』には一種のロマンがあった」
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