即戦力を求める業界、給料の安さなどで魅力を感じない若者

なぜ、それほどまで「伝える」ことに力を注ぐのか。明言はしなかったが、おそらくは田才の抱く危機感が関係している。

田才によれば、国際協力の業界には若者が少ない。大半の団体は若い新人を指導できるような余裕がなく、すぐにプロジェクトに入れる即戦力を求めている。

つまり、一度も途上国で働いたことがないような20代が職を得るのは難しい業界だ。未経験で現場に行きたいとなれば、ほとんどJICA海外協力隊の一択となりそうだ。

一方で若者の側も、社会起業への関心こそ高まっているが、給料の安さなどの課題があり、NGO・NPOにはあまり魅力を感じていないという。

「だからうまい仕組みを作って、若者を引き上げるようなサポートをしたい。それに僕は、ベテランたちと仕事をすることが多く、国際協力で長く活動してきた先輩たちを尊敬しているが、彼らと若い人たちが乖離されていると感じる。若い人とベテランが一緒に何かできれば、もっと面白いことができるんじゃないか」

国際協力NGOを支援するNGOである、JANICという団体がある。田才はそこで最年少理事も務めており、若い人がもっと国際協力の世界に入って来てくれれば、という思いが彼を突き動かしている。

途上国により大きなインパクトを与えるために、必要なことをする――。

もはや「現場」には固執しなくなったようだが、オフラインとオンラインを軽々と超え、ベテランと若者の2つの世界をつなぐ29歳の姿がそこにある。

Ryoya Tasai

田才諒哉

●国際協力サロン代表、ササカワ・アフリカ財団ジュニアプログラムオフィサー

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