自分の欠点と闘うのをやめる

ところで、実はナルシシズムは誰もが使う防衛戦略です。その人を「ナルシスト」と呼ぶかどうかは、ナルシシズムの程度によるだけで、誰でもこの戦略を少しは使っているのです。

私たちは皆、できるかぎり自分自身をよく見せたいと思っています。そのために、時には他者の価値を少し引き下げたり、自分のことを少しは自慢したりします。面目をまったく気にしない人などいませんからね。

シュテファニー・シュタール著『「本当の自分」がわかる心理学』他者の弱みばかり気になることもあり、パートナーの恥は自分の恥だと思っています。私たちは皆、できるかぎり自分の自信のなさを感じないようにしようとしており、また自分の弱みを隠そうとしているのです。だから、拒絶されたり批判されたりすると傷つくのです。

とはいえ、このナルシストの防衛戦略は、とても多くのエネルギーを必要とします。それにより、自分や周りの人は、つねにストレスを抱えることになります。特別な人になろうといろいろと頑張っても、不安を癒やすことはできません。ナルシストは、そのことを理解する必要があります。

不安は、自分が受け入れられ、認められたときに初めて癒やされます。ですから、"自分の弱み"と闘うのはやめるべきなのです。そして、「自分も他者と同じように一介の人間にすぎない」ということを受け入れなければなりません。

また、自己肯定感が低い人は、自分の近くにこうしたナルシストがいた場合、すぐに離れなければなりません。いくら頑張っても、それによって彼らが価値を認めてくれる日はこないからです。

シュテファニー・シュタール(Stefanie Stahl)

心理学者、心理療法士
約30年間の心理療法士、心理学者としての経験、および家庭裁判所鑑定人としての経験にもとづいて、「人とつながることに対する不安」「自己価値感」「内なる子ども」に関する数多くの書籍を執筆。わかりやすく読者の心に寄り添うように書かれた著書の多くがベストセラーになっている。膨大なカウンセリング経験と長年の研究から生み出された、心を改善する著者独自の手法は具体的かつ実践的であるため、専門家の間でも絶賛されている。ドイツのみならず他国でもセミナーを開催。専門家としてのテレビ、ラジオ出演、雑誌の寄稿も多数。

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。元記事はこちら
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