<何十ものスキャンダルを抱えるなか、「フェイスブック」からの社名変更を明らかにしたが、未来を築こうとすればそれは避けられないと言わんばかりだった。イベントの後半には開発で重んじる原則を列挙したが>

それは、単なる開発者向けのイベントではなかった。

フェイスブックは10月28日に開催したバーチャル・リアリティー(VR=仮想現実)関連のイベントを、自社全体のイメージチェンジの場にしようとしたらしい。

この日、同社のマーク・ザッカーバーグCEOは、ユーザーがアバター(仮想の分身)を使って交流できる3次元の仮想空間「メタバース」を構築する方針を強調。それに合わせて、社名を「フェイスブック」から「メタ」に変えることを明らかにした。

これにより、ソーシャルメディア・サービスのフェイスブックは、インスタグラムやワッツアップ、オキュラスVRなどと共に、メタ社傘下の一事業と位置付けられる。

1時間半にわたってライブ配信されたイベントは、CGの祭典とでも呼ぶべき華々しいものだった。何十もの大きなスキャンダルを抱えている企業のイベントとは、にわかに信じ難い内容だ。

フェイスブックは9月半ば以降、元社員のフランシス・ハウゲンが持ち出した大量の文書に基づいて厳しい報道にさらされてきた。以下のような問題が指摘されている。

「自社の内部調査により、インスタグラムが10代の少女の心身の健康に悪影響を与えていることが明らかになった」

「21年1月の米連邦議事堂乱入事件の引き金になったようなコンテンツへの対処が遅れた」

「フレンドリーな交流を後押しするという触れ込みとは裏腹に、同社のアルゴリズムで、憎悪や分断をあおるコンテンツが拡散されやすくなっている」といった具合だ。

プレゼンの冒頭で、ザッカーバーグはこう語った。

「今は未来に目を向けるべき時期ではない、と言う人がいることは承知している。いま取り組むべき重要な課題がいくつもあることは、私も分かっている。でも、いつの時期にも目の前の課題がなくなることはない」

そうして続けた。

「未来に目を向けるのにふさわしい時期を待っていても、そんな時はずっと来ないのかもしれない」

さらに「ミステイク」という言葉を使い、未来を築こうとすればそれは避けられないと言わんばかりの話をした。しかし、いま直面している批判の重大性を考えると、「ミステイク」という言葉はあまりに軽く感じられる。

イベントの後半になってようやく、真面目な話題に言及した。

ザッカーバーグは、責任を持ってメタバースを築くために多大な努力を払っていると説明。透明性、安全性、プライバシー、インクルージョン(包摂)など、メタバースの開発で重んじる原則を列挙した。しかし、これらの原則をどのように実践するのかについて詳しいことはほとんど語られなかった。

【関連記事】ピザの注文から出願大学まで、フェイスブックが僕について集めていた全情報

人間よりも利益を優先させてきた