これに軍事行動も含まれる可能性があるかと、私は国防総省に質問した。質問は国家安全保障会議(NSC)に仲介されたが、回答はなかった。

モイーズが独裁色を強め、ハイチの治安が悪化しても、「国際社会はモイーズの味方を続け、彼はますます力を得た」と、国際政治学者のロバート・マグワイアは言う「ハイチでは政府への抗議が広がっていたが、最近になってようやくアメリカも反政府側に回った」

ドナルド・トランプ前米政権と共和党の一部にとって、モイーズを支持するかどうかは地政学の問題だった。ハイチは周辺国の政府と一線を画し、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を非難するアメリカに同調してきた。

バイデン政権は5月に、「1人の統治者による絶対的な支配」を終わらせて、年内に選挙を実施するようハイチに求めている。ただし、モイーズが暗殺される前から、「ハイチでは政府の支持者以外、正当な選挙が行われるとは誰も思っていない」とマグワイアは言う。

「暫定政府の正統性が今後の展開のカギになる」と、バージニア大学のマーリーン・ドー教授は言う。「ハイチの将来について、国民が発言する必要がある。エリート層が権力を握り、それを維持することに終始するという繰り返しになってはならない」

私はクレスカに、今回のハイチの危機に国際社会は何ができるだろうかと聞いた。

「私たちを侵略することでは決してない。軍隊を派遣することでも、解決策を押し付けることでもない。これは私たちの失敗だ。自分の失敗は自分で解決させてほしい」

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