現在、国際チベット支援ネットワーク、世界ウイグル会議やアメリカの香港人コミュニティー「We The Hongkongers」をはじめとする複数の人権団体が、民主主義諸国に対して北京冬季五輪のボイコットを呼びかけ、また国際オリンピック委員会(IOC)に対して五輪の中国開催撤回を呼びかけている。

世界ウイグル会議の広報担当であるズムレットアイ・アーキンは先日、AP通信に対して、次のように語っていた。「外交的判断によるボイコットは、私たちのコミュニティーに大いに歓迎されるだろう。私たちは(中国に)説明責任を求めてきた。ボイコットの決定は、説明責任を求めていく方法のひとつだ」

一方でIOCは、北京開催を撤回する考えは示しておらず、オリンピックは政治的に「中立」であるべきだという立場を表明している。IOCのトーマス・バッハ会長は3月、「我々は超世界政府ではない。国連安全保障理事会や主要7カ国(G7)、20カ国・地域(G20)でも解決できないような問題を、IOCが解決することは無理だ」と述べた。

参加しながら抗議する?

米オリンピック・パラリンピック委員会は3月、アスリートに悪い影響をもたらすとして、ボイコット案に反対を表明。同委員会のスザンヌ・ライオンズ会長は、「中国で起きている人権問題について決して過小評価したくはないが、アスリートのボイコットは支持しない」と述べた。「ボイコットは、国の代表に選ばれるために人生をかけてトレーニングをしてきたアスリートたちを傷つけるだけだ。この問題は、中国との間で政府レベルで対処されるべき問題だと考える」

大会ボイコット以外の抗議の手段としては、ソーシャルメディア上での運動や、アスリートへの開会式欠席の呼びかけ、競技の際に抗議の意を示す衣服着用を呼びかけるなどの案が浮上している。

アメリカには過去にもオリンピックをボイコットした例がある。1979年にソ連がアフガニスタンに侵攻したことへの抗議として、翌1980年のモスクワ夏季五輪は、アメリカが主導する形で65カ国が参加を取りやめた。

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