こうしたプッシュ要因を減らすために、何をすべきか。

まずは、国からの運営費交付金の減額などによって研究者のポストが減らされ、足腰の弱ってしまった日本の科学界を立て直す必要がある。

それだけでなく、国家の競争力の源泉である研究者を世界中の国々が奪い合っている今、日本人か外国人かを問わず優秀な頭脳を日本に引き寄せるための新たな戦略も必要だ。

アメリカのような研究・教育の総合力で太刀打ちできないのであれば、EUが外国人向け助成金プログラムとして300種以上の豊富なメニューを打ち出しているように、制度で補完するのも一つの手だ。

例えば、現行の外国人研究者の招聘事業に欠けている2年以上の長期滞在ポストを用意するなどの方策が考えられる。

中国の千人計画には、確かに大きなインパクトがある。だが、それだけに気を取られ、各国がそれぞれの「千人計画」によって高度人材を奪い合っている現実を見誤れば、日本の科学技術が競争力を取り戻す日は遠のく一方だ。

<2020年10月20日号「科学後退国ニッポン」特集より>

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