当時、これは「イギリス側の勝利」と受け止められていたので、コモンローを用いている国家は一斉に香港と喜んで「犯罪人引渡し条約」を結んだのだった。

逃亡犯条例改正案は香港国安法で「完成」されていた

ところが今般の香港国安法(香港国家安全維持法)制定により、事実上、昨年の抗議デモで廃案となった「逃亡犯条例改正案」は「完成」されてしまった。

国安法第14条には香港に「香港特別行政区国家安全維持委員会」を設置することと、その職責に関して書いてあるが、それによれば、「香港特別行政区国家安全維持委員会の業務は香港特別行政区の他のいかなる機構、組織及び個人の干渉も受けず、業務情報はこれを公開しない。香港特別行政区国家安全維持委員会が行った決定は司法審査を受けない」となっている。

また国安法第55条では「次の各号の一つに該当するときには、香港特別行政区政府または駐香港特別行政区国家安全維持公署が申し立て、かつ中央人民政府の承認を受けて、駐香港特別行政区国家安全維持公署がこの法律に定める、国家の安全を害する犯罪事案に対し管轄権を行使する」と規定してあり、かつ第56条では「第55条の規定に基づいて国家の安全を害する犯罪事案を管轄する際は、駐香港特別行政区国家安全維持公署が立件・捜査を担当し、最高人民検察院が関係検察機関を指定して検察権を行使し、最高人民法院が関係法院を指定して裁判権を行使する。」とある。

頭に入りやすい平易な言葉に言い換えると、昨年、あんなにまで激しく燃え上がって廃案にまで持ち込んだ逃亡犯条例改正案だったが、結局、「北京」(=中国政府=中国共産党)に対して抗議運動を引き起こしたり参加したりした香港人はみな「国家安全法」に抵触するとして「北京」が管轄する裁判権の下で裁判を受けるということになったということなのである。

これは逃亡犯条例改正案を、最悪の形で「北京」は完遂したことを意味している。

目的は全て、司法における「コモンロー体系からの脱却」である。

そのことは7月7日付のコラム「習近平はなぜ香港国家安全維持法を急いだのか?」で詳述した通りだ。

中国に、これを覆せなどと言っても100%「絶対に!」覆さないので、西側諸国に出来ることは、ポンペオが訪英の際に言った通り、西側諸国の価値観を持った国々が意思統一をして連携し中国に対抗していく以外にない。

日本は何をすべきなのか?

アメリカの説得があったのだろう。

日本の民主主義も危ない