もう1つの怪しげな傾向は、新型コロナウイルスのワクチンをめぐるニュースだ。コロナ禍が拡大し始めるとすぐに、「反ワクチン派」の主張が報じられ始めた。彼らによれば当局は市民を支配するために、有害なワクチン(まだ開発もされていないのだが)の接種を強行しようとしており、それによって製薬会社幹部の懐は潤うばかりだという。

コロナ禍が広まり始めた頃、反ワクチン派のサイトはコロナ禍が製薬会社やグローバリストの陰謀であり、不安をあおってワクチン接種を促すためのものだと書き立てた。だが3月に入り、流行が「本物」と認めざるを得なくなると、ワクチンよりも効く「治療法」を喧伝するサイトが登場した。

人気健康サイトの「ナチュラルニュース・ドットコム」ではビタミンCの点滴を勧め、同時に各種のビタミンC商品の販売を始めた。

反ワクチン派が勢いづいているのは、コロナ禍による外出禁止令は自由を制限するという議論とも関係があるようだ。反ワクチン派はそれを、「接種の義務が自由を侵す」という自分たちの主張に重なると考え、公衆衛生当局をさらに激しく攻撃している。

私たちが抱える問題はコロナ禍だけではない。ウイルスをめぐるゆがんだニュースに「感染」して反ワクチン派になった人々を、こちら側に連れ戻すことも大きな課題だ。

<本誌2020年7月7日号掲載>

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