癌細胞だけを標的にするこうした新治療の研究開発は、化学療法の先駆者パウル・エールリヒが1900年に提唱した「魔法の弾丸」という概念に触発されている。

「周囲にある障害物を避けて進み、あなたが撃ちたい物だけに当たり、ほかのものを一切傷つけない弾丸を想像してほしい」と、バークアグエロは言う。

「癌細胞がどこに潜んでいようと、確実に見つけてやっつけ、患者の体内の癌細胞を1つ残らず消滅させるが、健康な組織には触れさえしない──私たちが目指す治療は文字どおり魔法の弾丸だ」

<本誌特別編集ムック「世界の最新医療2020」より>

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正常な細胞を避けて、癌細胞だけに確実に薬を送り届ける。そんな「賢い運び手」を使った次世代型の分子標的治療が注目を浴びている。