トヨタ自動車は11日、2020年春季労使交渉(春闘)で、一般組合員の基本給を底上げする、いわゆるベースアップ(ベア)を実施しないと労働組合に回答した。ベアの見送りは13年以来、7年ぶり。労組側は定期昇給とベア相当分を含む総額で月1万0100円を求めており、前年実績は1万0700円だった。

会社側は、人材育成に向けた研修や異業種企業への出向などにかかる「人への投資」を含め、全組合員1人平均で月8600円の「賃金改善」を労組に回答した。

一方、年間一時金(賞与)は、組合員1人平均で夏130万円・冬112万円、年間で242万円(6.5カ月分)と満額の回答とした。

これ以上のベア、雇用に影響の恐れ

豊田章男社長は回答の際、「100年に1度」とされる転換期にあっても「雇用だけはなんとしても守り抜く」と語った上で、「これからの競争の厳しさを考えれば、すでに高い水準にある賃金を引き上げ続けるべきではない」と説明した。

さらには「自動車産業を支える多くの仲間に『トヨタと一緒に闘いたい』と思ってもらえる会社にしなければならない」とも述べ、この2点を考えた時に「ベアに応えることは皆の幸せにつながるとは思えなかった」と理解を求めた。

自動車産業は車両の電動化、自動運転化など次世代技術投資もかさんでおり、異業種からも参入して熾烈な競争が続く中、先行き不透明感が強い。人件費に投資をかけすぎると雇用に響く恐れもある。

総務・人事本部の桑田正規副本部長も記者団に対し、今回の回答に至った理由について、他業界の企業と比べ「トヨタの賃金水準はすでに国内トップレベル」にあり、これ以上の引き上げは雇用などに影響が出てくる恐れがあるとして「なかなか難しい」と話した。新型コロナウイルス感染拡大の影響や主力の中国市場鈍化といった事業環境の現状は「反映していない」としている。

*内容を追加します。

(白木真紀 編集:青山敦子)

[ロイター]
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